Innocent_Mechanical Engineer

機械系エンジニアの雑記です

温暖化は確実に進んでいる / "The Unihabitable Earth" David Wallace-Wells著

 また、英語の本です。日本語訳はまだなさそうですが、結構話題になっている本みたいなので、いずれ訳されるかもしれません。

 単的に言うと、温暖化が進むとまじでやばいということをひたすら紹介している本です。温暖化の解決策とかはほとんど書かれています。とにかく、産業革命以前から地球の平均気温が3~5℃も上昇すると、人類は悲惨な目にあうことが色んな観点から書かれています。文章のみなのですが、その悲惨さは良く伝わってきて、少し怖くなりました。恐らく、それが著者の狙いです。私は、まんまと著者の思惑にはまり、エネルギー産業に関わる者として、危機感を持ちました。子供やその先の世代のために、温暖化を止めることに貢献したいと強く思いました。

"It is worse, much worse, than you think."

 この本は、いきなりこの言葉で始まります。Factfulnessを読んだ後では、世界はどんどん良くなっている印象を受けましが、こと温暖化に限って言うと、そうではないみたいです。

 温暖化に関することだし、恐怖感を煽るために確率が低いことやありもしないことを大袈裟に書いているのでしょ?と猜疑心を持つ方もいるかもしれませんが、でたらめを書いているのではなく、きちんとした科学論文などを引用しながら書かれています。ただ、当然のことながら、予測が難しい事象なので、不確実性は含みます。本当に一部ですが、本書に書かれている恐ろしい事例をあげます。3~5℃上昇した場合です。

 ・穀物の生産量が世界全体で50%以上低下することによる飢饉の恐れ。また、干ばつの増加や作物の栄養素減少により、特に発展途上国にて、約6億人の健康に影響する。

・海面上昇により、ロンドン、ダブリン、フロリダ、ブエノスアイレス、ドーハ、ドバイ、バングラなど主要な国や都市が海に沈む。

カトリーナ並のハリケーンが発生する頻度が現在よりも倍以上になる。

 ・50億人もの人が飲料可能な水に十分なアクセスができなくなる。

・上記のような影響もあり、経済の低迷、難民や戦争の増加が起きる。

 

 想像するだけでも、恐ろしいですよね。もちろん、温暖化との因果関係が不明確な事象もあったり、本当に予測が当たるかはわかりません。しかも、Factfulnessを読んだばかりで、そこでは、"温暖化は地球の大きなリスクで無視することはできないが、一方で、最悪のシナリオに囚われていては、解決から遠ざかる"という旨が書かれていました。ですが、改めて、全人類がリスク低減に向けて、積極的に努力する必要があることを感じました。私ぐらいの年齢ならば、逃げ切れるのかもしれませんが、子供の未来のために...。綺麗ごとに聞こえるかもしれませんが、本当にそう感じる本なので、是非なるべく多くの人に読んでもらいたいですね。

 

 

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