Innocent_Mechanical Engineer

機械系エンジニアの雑記です

【機械工学】摩擦の不思議...ローラー滑り台からの考察

 仕事で必要性があって,摩擦係数について調べる機会がありました。摩擦は身近にどこでも見られる現象ですが,かなり奥深いです。また意外と調べれらてないことも多いなという印象を持ちました。そんなときに子供が公園の滑り台で遊んでいるのを見て,疑問に思ったことがあります。

◆ローラー滑り台は,座るよりも靴のみで乗っかる方がなぜ滑りやすいのか...?

 ローラー滑り台に乗る際,足だけをローラーの上に乗せて滑る子が多かったです。そっちの方が普通の滑り台とは異なり,お尻を付けて座るよりも滑りやすいことを経験的に知っているからだと思います。雑な絵ですが,下記の左の状態の方が右よりも滑りやすいということです。なぜそっちの方が滑りやすいのか疑問に思いました。

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 ・仮説1:転がり抵抗は面圧が大きいほど大きいため

 滑り摩擦の摩擦力はF=μNの理論式に依れば,面圧に依存しません。一方,転がり抵抗は面圧に依存性があるのでは?と思いました。ググってみると,どうやら仮説通り,転がり抵抗は面圧が大きいほど大きくなりそうです。

タイヤ熟考Ver1「転がり抵抗」≠「タイヤと地面との摩擦による抵抗」 | 十三峠十三分切り

5分で分かる「転がり抵抗」夏と冬どちらが燃費いいの?理系ライターが解説! - Study-Z ドラゴン桜と学ぶWebマガジン

 転がり抵抗の正体は,接触面の変形が元に戻るときに失われるエネルギーです。そのため,接触面が大きいほど変形量が大きく,失われるエネルギーが多い=転がり抵抗大きいと言えそうです。ただし,転がり抵抗の値はもともと小さなものなので,そこまで滑りやすさに影響があるかどうかは疑問です。。

 ・仮説2:スリップしなくなるため

 摩擦の種類には以下の3つが存在するという認識です。
   ・静摩擦(static friction)
   ・動摩擦(kinetic friction/sliding friction)
      ・転がり摩擦(rolling friction)

 これらは全く別物であることを理解する必要があったのですが,頭がごっちゃになっ ていました。そもそも車のタイヤが回って駆動できる理由と氷の上ではスリップする理由等をよく考えてみると意外と難しかったです。
 ローラがスリップせずに回転するためには,静/動摩擦が駆動力を上回る必要があります。

摩擦力とは タイヤがスリップしている時の摩擦 転がり抵抗~制御工学の基礎あれこれ~

 靴のゴムと布のズボンでは,前者のほうが静/動摩擦係数は大きいはずです。なので,靴で乗った場合は,静/動摩擦の方が駆動力を上回り,ローラがスリップせずにきちんと回転することで,より滑りやすくなっているのではと考察しました。
 ただ,ローラによって回転して滑るか,単純に滑り落ちるのとどっちが早いかは斜面の角度,乗る人の体の大きさ等によっても変わる気がします。

斜面を落ちる球にとって摩擦は幸か不幸か【物理チャレンジ】 - YouTube
 ローラ滑り台一つ設計するにしても結構難しそうです。。

 

◆その他の摩擦の疑問

 仕事なども通じて,他にも以下の疑問を持ちました。後々,考察してみたいと思います。

・摩擦係数を小さくしたいならば,同種金属を避けるべき理由。凝着して摩擦係数が無限に増えるのは防いでくれるが,金属同士なら摩擦係数はそれほど変わらない?固着しやすい高温の条件では特に避けた方が良いが,常温程度なら摩擦係数はそれほど変わらないと言える?

・温度が高いほうが摩擦係数が大きいのはなぜか?

 

◆参考にしたサイト

monozukuri.sqcd-aid.com

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjspe/81/7/81_643/_pdf

2.4.2 固体摩擦の発生原因 | monozukuri-hitozukuri | 日本のものづくり

http://eb-cat.ds-navi.co.jp/jpn/jtekt/tech/ej/img/no1003/1003_02.pdf

https://www.rs.noda.tus.ac.jp/nog/documents/tribology/tri03.pdf

摩擦係数資料 - 設計支援ポータル