Innocent_Mechanical Engineer

機械系エンジニアの雑記です

【書評】働く人は全員学ぶべし 〜財務とファイナンス〜

 はてなproになりました。やろうと思って手がついてなかったブログのデザインを変えました。少しは見やすくなった気がします。記事の一覧表示はproにならないとできないんですねー。

 余談はさておき、会社でのある出来事をきっかけに、ずっと避けていた財務とファイナンスの勉強をしました。以下の本を読みました(ただし、全部が全部最後まで読んだ訳ではありません)。思ったより読んでいました。しばらくはお腹いっぱいかもです。

・國貞克則 『ストーリーでわかる財務3表 超入門』
・大手町のランダムウォーカー『世界一楽しい決算書の読み方』(イラスト:わかる)
・広瀬義州 『財務会計
・Richard Brealey / Stewart Myers "Principles of Corporate Finance"
・近藤哲郎、沖山誠、岩谷誠治『お金の流れがたった一つの図法で全部わかる 会計の地図』
・保田隆明、田中慎一『SDGs時代を勝ち抜く ESG財務戦略』
朝倉祐介『ゼロからわかるファイナンス思考 働く人と会社の成長戦略』
・西山茂『決算書&ファイナンスの教科書』

働く人は全員学ぶ事を推奨します

 財務/ファイナンスなんてエンジニアの自分には関係ないと思ってました。完全に間違っていました。職種によらず、早い段階で皆さん勉強すべきですね。以下の3つの理由でそう思います。

  1.  自分の仕事が世間にどのように評価されるのかを知ることができる

     会社は、世の中から財務諸表とファイナンスの数値で評価されています。自分の仕事はこの数値にどのように反映されていて、どのように評価されているかを知るべきではないでしょうか。自分の仕事が会社や社会にどのように影響を及ぼすかがわかり、モチベーションUPと責任感の向上に繋がると感じました。どんな高度な仕事をしているつもりでも、財務/ファイナンス上で評価されなければ、極論、意味が無い訳です。私みたいに財務なんていらねー、しょうもなと思っていた人間や頑張っているつもりなのにあまり評価されないと思っている人ほど勉強した方が良いと思います。

  2. 色んな会社の経営指標を見たり、計算したりするのは単純に面白い

     私はプロ野球が好きです。その理由の一つは、チームと個人の成績が数値として明確で、それを色んな選手間等で比較して見てみるのが面白いからです。今まで、会社の評価指標を理解していなかっただけで、理解すると、野球の成績と同様に見ているだけで面白いですね。自分の会社は大丈夫そうか?今年の成績はどうなのか?最低限見ておきましょう。ただ、個人的には、素人がいくら経営指標をいくら分析したところで、ある会社の未来を予測するのは無理だと思います。経営指標はあくまでも過去の結果です。

     

  3. 自分の進むべきキャリアの方向性が見える

     会社には色んな人が必要です。売り上げを増やす人、費用を減らす人、資金を調達する人、従業員が働きやすい環境を作る人等。また同じ業種の会社でもそれぞれ特徴があります。具体例を出すと、同じECビジネスのアマゾンと楽天では有形固定資産の割合が大きく異なります。その中で、自分の今までの経験や趣味志向から、会社のどういう部分に貢献したいのか?どういう会社で働きたいのかが見えてくると思います。少なくとも私はそうでした。

 今後働く上で、自分が意識しようと思ったことを書いてみます。

 目先の利益も大事だが、企業価値の最大化につながっているか?

 これは、『ゼロからわかるファイナンス思考 働く人と会社の成長戦略』で主張されていることそのままです。利益を最大化することが企業の目的ではありません。利益の最大化が目的だとすると、"いつの時期の利益を最大化すれば良いのか?"と聞かれたらどう答えますか?答えるのは難しそうですよね。。企業価値の最大化をすることが目的です。企業価値の定義は以下の通りです。

 その会社が将来にわたって生み出すと期待されるキャッシュフローの総額を、現在価値に割り戻したもの

 どんな仕事をしていてもここは意識したいポイントです。短期的な目先の利益のために、企業価値を損なうようなことをしていないでしょうか?例えば、ちょっとした ゴマかしが目の前の利益を増やすことになるかもしれませんが、それによってお客様の信頼を損なえば、企業価値は下がるでしょう。最近の日本企業の品質不正問題も、目先の利益に囚われすぎているから起こるのではないでしょうか...?ネガティブな話をしてしまいました。ポジティブな話をすると、今すぐ利益にならない話であっても、将来的に価値を生み出す仕事をやっているのであれば、そこは誇りに思って良いわけです。

 企業価値の最大化を意識することで、仕事の判断と取り組み方は結構変わるはずです。今後も意識してキャリアを歩んでいきたいと思います。

  無形資産(信頼と技術ノウハウ)を蓄積しよう

  最近、どこかしこでも言われている気はしますが、財務諸表には乗らないような無形資産が企業価値を最大化する上で重要なのではと感じました。今の世の中、目に見える資産にほとんど差はなくなっていますし、誰もが入手しやすくなっています。その中で、将来に渡ってもキャッシュを生み出せるかは、無形資産にかかっている気がします。

 無形資産にも色々ありますが、個人的には、信頼と技術ノウハウを大切にして蓄積していきたいです。凡人にとって、仕事を頂けるかは信頼してもらえるかが9割以上だと考えます。信頼を獲得するために、言われたことはやる(できないならできないと言う)、期日を守る、嘘をつかない、悪口を言わない、相手の求めていることを知る、根回しする、契約と基準を守る等のことを引き続き大切にしていきたいです。

 後は、エンジニアとしては技術ノウハウですね。私が扱っている製品は技術自体は枯れた技術です。それでもやはり、長い歴史を経て蓄積した経験に基づいたアドバイスや図面がお客様に貢献できる部分だと考えます。私自身、自分の経験、考えたこと、得られた知識をきちんと文章化、図示化することが責務だと思うので、地道にやっていきたいです。

  固定資産(機械設備)を最大限活用できる人材になる

  今の自分のやっている仕事を一般化すると、"固定資産(機械設備)を最大限活用することに貢献している"と言えるのではと思いましたし、自分の中でもしっくりきました。私は、地図に載るような長期間残る建築物や設備に魅力を感じます。そのような設備を大切に使う、設備から価値を産み出すことを今後も生業にしていきたいです。

 こうやって一般化することで、今の仕事以外でも身につけるべきことが見えて来た気がします。業種を変えたい場合にそなえて、機械工学の知識をより一層磨くことが必要ですし、固定資産を活用するには、固定資産から得られるデータを活用することも重要です。データ分析を勉強するモチベーションにもなりました。

 

 こんな感じで、財務とファイナンスを勉強することで、それを専門とする職以外の人もキャリアの進むべき方向やモチベーション向上にも繋がって、非常に有意義だと思った次第です!