Innocent_Mechanical Engineer

機械系エンジニアの雑記です

【書評】"An Introduction to Engineering and Engineering Design " By Edward V. Krick

仕事が忙しかったので(言い訳),久しぶりの投稿です。今回は,恐らく,この日本で読んだことがある人がほとんどいないと思われる本(洋書)の紹介です。

でも,実はこの本,私も偶然見つけたものです。近所でゴミに出されていたのを見つけて,近所でこんな本を読んでいる人がいるんだと思って,嬉しくて拾いました笑。ゴミに出されている本を漁るのが好きです笑。

さて,本題に入ります。まず,めちゃくちゃ古い本です。1965年出版です。でも,古さを感じさせない本で,エンジニアを目指す/エンジニアをしている人に読んで欲しい本です。元々,工学を学んでいる学生向けに書かれている本のようです。ちなみに,年代的に当たり前かもしれませんが,"IT"エンジニアではなく,機械/電機/材料/土木/化学などのエンジニア向けです。

実際,学生のときにこの本に出会えればよかったなぁと思います。なぜ工学を学ぶのか,工学が解決できる問題と問題解決のために必要なスキル,エンジニアの仕事内容などが幅広く書かれています。 大学で,最初にこの本の内容のような講義をして欲しいと心底思います。私は,今更ですが,大学でもっと真剣に講義を聞けばよかった,もっと勉強すれば良かったと後悔しています。できなかった理由(言い訳)は,そもそもこの難しい数学とか力学の講義を聞いて,何の役に立つのかわからなかったからです。もちろん,会社に入ってわかりましたが,大学で学んだことは絶対に役に立ちます。そのことを教えてくれる人がいれば,もっと勉強したと信じています(他力本願....)。

本は,以下の3つのパートに分かれています。

  1. エンジニアリングの紹介;エンジニアリングが解決できる問題と競争力があるエンジニアになるために必要なスキル
  2. 3つの基礎的なエンジニアリングスキルの紹介:表現;最適化;設計(Design)
  3. 未来の技術について

一番参考になったのは,1.のパートです。2.と3.は流し読みしました。2.のパートは,私の英語力が追いついていなくて,あまり理解できなかった部分もありましたが,所謂"問題解決"能力の身に着け方の紹介だったので,他の本を読んだ方がいいと思いました。3.は,未来の技術と言っても,古い本なので,あまり参考にならないと判断しました。

1.のパートで私が疑問に思っていた,エンジニアと科学者の違いについて,腑に落ちる説明がありました。

The scientist's prime objective is to generate new knowledge. In contrast, the engineer's prime objective is creation of a tangible device, structure, or process which is useful to man. 科学者にとって最重要の目的は,新しい知恵を生み出すことである。それと比較して,エンジニアにとってのそれは,人類にとって役に立つ実体のある装置,構造,プロセスを生み出すことである。

この言葉を読んで,私はエンジニアを目指して良かったと思う。もちろん,どっちかに優劣がある訳ではないけど,理工系の学生はどっちが自分に向いている/合っているのか考えて決めたほうがいいと思います。

そして,優秀なエンジニアになるための姿勢/態度の一つとして以下が重要であると記述されていました。

An engineer is recognized for his Questioning attitude, his penetrating curiosity concerning the "how" and "why" of things, which leads him to much useful information and many profitable ideas.

普段の生活から好奇心と懐疑心を忘れずに,人類にとって有用なものを生み出せるように精進し行きたいと思います。

手に入れるのが難しい本だと思うので,もし欲しい方がいらっしゃったらコメントください。また,もし,この本を都内で捨てた覚えがある方がいらっしゃったら,コメントください笑。