Innocent_Mechanical Engineer

機械系エンジニアの雑記です

【書評】〜ミライを変えるモノづくりベンチャーのはじめかた〜 丸 幸弘

世の中を本当に変えるのはIT系ではなくて,モノづくりだと思っている。Facebooktwitterは確かに,革新的なのかもしれないけど,私たちは本当にそういうことを求めていたのだろうか?私は,Teslaやユーグレナなどの事業の方がワクワクするし,本当の意味で世界(環境や健康)をよくしていると思う。もっと言えば,洗濯機の発明と普及の方がFacebookよりも社会的な意義は大きかったのではないかと思っている。

そんな感じでモノづくりのベンチャーに興味があるので,本書を手にとってみた。本の後半は,本当にベンチャーを立ち上げた後の指針だったので,いまは流し読みした。将来,本当に参考にできるように頑張ろう...!

まず,モノづくりベンチャーを創業するには,どうしても解決したい課題と熱を持っている必要がある。その上で,研究室の恩師などを通じて,技術指導者や専門家を通じて課題を解決できる方法を考えて事業していく。意外だったのは,ユーグレナはあれだけミドリムシを推しているが,実はミドリムシである必要はなかったとのこと。人類を餓えから救えるのなら何でもよかった。たまたま創業者の出雲さんの友人二人(著者の丸さんがそのうちの一人)が藻類の研究者で,ミドリムシがベストの選択肢だと思えたからミドリムシを事業にしただけである。

"ベンチャーがやりたいことの"ど真ん中"を研究している人は,この世にいない。" これは,私にとって一つ参考になった。やりたいことをど真ん中でやってる人や研究を探してしまいそうになるが,実はそんな人はいない。ただ,似たようなことをやっている人はいるはずなので,その人たちと一緒に考えることが重要である。 私は,幸いなことに修士まで研究して,良くして頂いた先生が2〜3人いるので,自分がやりたいことがあるときに,その方達と是非一緒に考えていきたいという願いを持っている。

"自分で「経験」を積み重ねることだ。人からの伝聞ではなく,自分で経験することで,自分自身の考えが生まれてくる。" ビジョンを描く,熱を持てる課題を探すには経験しかない。それはわかっているのだけど,仕事に就いてから,時間がないことを言い訳にあまり"経験"をしていないなー。それに,一応,学生時代の経験から,"餓えをなくしたい","エネルギー問題を解決したい"という想いはあるけど,そのための手段(技術)は無数にあって,何に自分の情熱を注げばいいのわからない....。まあ,とにかく経験を積み重ねるという意味で,"餓えをなくしたい"という想いを持つきっかけになったカンボジアにもう1回行く計画を立てよう!

モノづくりベンチャーに少しでも興味がある人にお勧めの本です。面白いだけでなく,実体験に基づいた処方箋も書かれているので,実用的だと思います。