【書評】自分で作ったもので収入を得る! / 物を作って生きるには ~23人のMaker Proが語る仕事と生活~
http://www.sy1401.com/?p=197で紹介したように,最近,趣味でArduinoなどを使った電子工作を始めました。今はまだ全然ですが,自分で作ったものを売って収入を得るという経験をしてみたいので,手に取りました。この本に限らず,MAKERS/DIY関係の本を集中して読もうと思っています。
さて,本の中身は,3Dプリンタ/ Arduino / Rasberry Pi / レゴなどを使って自分で好きなものを創って収入を得ている方々をインタビューする形で進んでいきます。
お金と時間,そしてプロ精神が必要
近年,3Dプリンタの技術などが発達してきて,誰でもモノを作って生きていける時代になったと言われることも多いと思います。確かに,昔よりはそれがしやすい環境になっていて,この本も,君も"MakerPro"になれることを示す意図で書かれています。しかし,私はこの本を読んで,ハードウェアを売って生きていくのはそんなに簡単ではないと感じました。
私は,自分で取り組んでいるArduinoのものづくりをもっと進めたいのですが,本業の仕事で帰りが遅かったりすると中々まとまった時間が取れません。この本に出てくる人もそういうような苦悩があり,フルタイムの仕事を辞めてパートタイムの仕事に就いたりしています。つまり,いくら優秀な人でも本業と両立して,自分のもの/プロジェクトで生活できるまで持っていくのは難しく,いかに時間を確保するがポイントだと感じました。
そして,お金に関して。kickstarterなどのクラウドファウンディングでお金を集めることに成功している会社/人もいますが,自分も成功するとは楽観的に考えないことが重要です。なので,ここで登場するメーカプロの方も最初は自分である程度お金を用意したらい,知り合いや今までの仕事のつながりで資金を集めている方が多いです。
最後にプロ精神に関して。ここは本の文章を二つ引用します。
プロとして素人との違いを決めるのは,シンプルなことだ。常に時間を守れ,可能ならば早めに。常にペンと紙,定規を持ち歩け!(中略)あらゆるミーティングにきちんと準備して臨め。図面や写真を持参し,写真を撮れ。(p.57)
高度な知能で自動的にハードウェアの製造を取り仕切る時代が来るまでは,ある程度の規模のハードウェア製造業を興そうとする人は,回路や機械工学のことだけでなく,いかにサプライヤーと労働者のネットワークにやる気を起こさせ,効果的に指揮するかも理解しなければならいのです。(p.210)
少なくとも今のところは,自分が思い描いたものを全て自動的に作ってくれる時代にはなっていないので,基礎的な知識は必要です。
結局,何よりも創ることが好きで,自分のプロジェクトに情熱を持てないとモノを創って生活するのは続きませんね。
私は,引き続き本業はこなしつつ,時間を確保して,モノをつくっていく,勉強を続けていきます。自分でモノを作って生きていきたいと本気で思えたら,色々本業を含めて考えなおしていきたいです。