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機械系エンジニアの雑記です

【書評】書くことが世の中を発展させると信じて書き続ける / ジェレミー・シーゲル「株式投資の未来」

 投資の本を数冊読んだ書評を先日まとめました。その中でも,『株式投資の未来』という本の中で個人的に印象に残った部分があるので,記録しておきます。

 この本は,少子高齢化が避けられない先進国ではなく,これから成長する途上国に投資することで資産価値を伸ばすことが期待できると説いています。そのことを"世界的解決(グローバル・ソリューション)"と呼んでおり,その表題で1章分が割かれています。世界的解決が可能となった理由について,歴史も振り返りながら解説している部分が非常に興味深かったです。

 【第15章 世界的解決の要約 ~情報伝達が発展の肝~】

 発明やアイディアが生まれて文明が発達したとしても,それが伝達されなければ,衰退の運命を辿ってしまうことを述べています。例として挙げられている歴史的な証拠は以下です。

 ・紀元100年ごろのローマのインフラ整備は,19世紀の欧州の都市がかなわない水準
  だった。
 ・旧石器時代の日本住民は,アジア本土との陸橋が失われて以来かなり原始的だっ 
  た。
 ・13世紀から14世紀にかけて,中国文明は世界最高水準であったと認められていた。
  その要因の一つとして,紙が紀元1世紀前後に中国で発明されたことが考えられ
  る。発展するうえで情報を記録し伝達する能力が物を言ったことは,あきらかだ。
  一方,明時代の圧政によって,知識や学術書が失われて,中国は低迷期に入った。

 

 近代(ここ200~300年の間ぐらい)の発展は,通信能力の飛躍的な向上と支配階層の側に新発明を受け入れる開放的な空気があったためである。そして,インターネットにより,ほぼ無制限に世界中の知識にアクセスできる世の中になる。誰もが所謂"巨人の肩の上に乗る"ことができる。そこに参加者が増えるほど,進歩に弾みがつく。

 

 【所感】

 正直,この本はこの章だけでも読む価値がありました。どの時代,どの地域でも時代が進むにつれて発展しているものだと思っていました。けど,情報が残されて伝達されなければ,逆戻りしてしまうことは往々にしてあることを理解できました。インターネットの発明をみんな持ち上げすぎ(世の中を変えた発明は他にもたくさんある)なのではと正直思うところもあったのですが,インターネットによる革命の本質は,誰でも簡単に情報を残し,誰もが自由にアクセスできるようになったことなんですね。何を今更って感じかもしれませんが。。

 世界的な人口増により資源の枯渇が懸念されますが,逆に人口増加によって知識/発明も加速的に増えて,解決に向かうのではないかという希望も持てる記述でした。世界中の特許や論文をほぼ自由に見れるというのは本当にすごいことですし,もっと活用しないとですね。。

 

【行動したいこと】

 仕事でもプライベート(このブログ)でも,徹底的に調べたことや考えたことを書き残すことを習慣にします。世界の発展なんてというのは大げさかもしれませんが,書き残したことがきっといつか誰かの役に少しでも立つと信じて書き続けたいと思います。

 実際,会社で仕事していて,判断した理由や図面の根拠が残っていなくて困ることが多々あります。。少なくとも自分が担当した仕事については,後から誰が見ても困らないように調べたこと,考えたことを残すということをしたいと思います。