Innocent_Mechanical Engineer

機械系エンジニアの雑記です

数学者のように考える / フェルマーの最終定理 (サイモン・シン)

久しぶりの投稿,書評です。

大分前に話題になった本だと思いますが,今更読みました。

単純に読み物として面白かったですね。定理が証明されるまでの過程を素人にもわかりやすいように人間ドラマ含めて書かれています。

この本から学ぶべきは,数学者がどのような考え方をするのかということだと思いました。何かの場面で,数学者だったらどのように考えるかという思考をすることで,役に立つかもしれません。個人的に学べたことを一つ述べるとしたら以下です。

◆懐疑的に考える。完璧な証明しか認めない。

 コンピュータが発達したいまでは,時間をかければ,膨大な計算をいくらでもできます。フェルマーの最終定理もとんでもない大きな数まで計算していけば,十分,定理が成り立つ証  拠になるのではと素人目には思ってしまいます。ですが,それは数学会では認められないようです。ゼロが10桁の数字まで成立しても,次の数でも成立する証拠にはならないとのことです。実際に,そういう事例が結構あるということが衝撃でした。"オイラーの予想"が成り立たない証拠となる初めて見つかった式が824404 + 153656394 + 187967604 = 206156734 だというので,驚きです。。。なので,いくらコンピュータで色んな数で成り立つことを示しても,数学会では証明にならないとのことです。

 我々,一般(?)の世界では,過去何十回もうまくいっている方法だから今回も問題ないと判断したり,行動したりすることはよくありますよね...。それで実際うまくいくこともありますが,実は過去と条件が違ったりで,失敗してしまうこともあります。数学者のように思考していれば,事前に成功した理由を分析したり,証拠を集めたりすることで,本当に今回もうまくいくのか検証できると思います。私は,よく安易に判断してしまうことがあるので,その前に,数学者だったらどう考えるだろうか?と一度立ち止まるようにしたいと思います。

 また,ちょっと飛躍するかもしれませんが,たとえば品質管理において,不良率が1%とか低ければ,一般的には満足してしまうかもしれませんが,数学者ならゼロになるまで満足しないのではないでしょうか。数学者のようにそこ(完璧)を追求することも時と場合によっては必要なのではないのでしょうか。

 

数学者がどのような思考をするのか面白く学べるので,おすすめの本です。