【ビュッフェから考えた食糧廃棄】再利用より減らすことが重要?
先日,家族との旅行先のホテルでビュッフェを頂きました。子供が落としてしまった食事等をお皿に残さざるを得なかったのですが,帰り際,全部食べないとダメと子供が真剣に泣き出しました。その子供の気持ちを通じて,改めて食糧廃棄は罪深いなと思いました。食事を捨ててしまうことに対して真剣に泣く気持ちに心を動かされてしまいました。食べ残しはしちゃいけないなと改めて感じさせる出来事でした。
そこで思ったのは,ホテルの食事はビュッフェ方式が多いですが,毎日大量の食糧廃棄(フードロス)が発生するだろうなということです。食べきれなくて自分のお皿に残してしまう人も多いですよね。。また,仮に全ての客が取った分は食べていたとしても,ホテル側は足りなくならないように食事を用意しているはずなので,廃棄は毎日発生しているのではと思います。
ホテルでの食糧廃棄量
約15万ton前後かと推察します。
日本語でググっても直接データが見当たりませんでした。そういう場合,私は大体,英語で調べてみます。案の定,参考になりそうなデータができました。以下に依るとドイツのホテル産業での食糧廃棄量は年間8万tonです。
Reducing food waste in hotel kitchens based on self-reported data - ScienceDirect
日本とドイツのホテルの数を比較してみました。
・日本 ホテル施設数:55,000 宿泊部屋数:1,694,000
・ドイツ ホテル施設数:12,343 宿泊部屋数:993,298
以下を参考にしています。
日本全国ホテル展開状況(2021年10月現在) | HotelBank (ホテルバンク)
https://www.statista.com/statistics/613815/number-of-hotel-bedrooms-germany/
人口比は1.5倍ぐらいなので,宿泊部屋数で比較するとまあそんなものかなという数字ですが,施設数で比較すると日本は多いです。旅館などの個人で経営している宿泊施設が多いということですかね。話が脱線しますが,改めて数値で見ると衝撃的だったのがこれです。
• Japan: city hotel occupancy rate 2020 | Statista
コロナが直撃した2020年の稼働率は34%とのこと。。。コロナ前は80%前後で推移しているのを見ると,影響が甚大ですね。自分にできることは少ないですが,旅行をたくさんするしかないです。
話を戻しますが,ドイツと日本の宿泊部屋数の比率と日本の方がビュッフェ方式が多そうなので,大体15万ton前後と勝手に推察しました。
食糧廃棄(フードロス)を再利用する方法
再利用するより,減らす方が大事なのは理解していますが,個人的には再利用に興味があります。減らすことは人間系に依存していて,再利用は技術が大事な気がするからです。エンジニアとしては再利用に興味があります。ただ,再利用のための画期的な技術が何かあるかと言うと,調べる限りなさそうです。
基本的な再処理の方法は,嫌気性消化だそうです。嫌気性消化によって肥料を作り,更にバイオガスを生成することができます。技術の詳細はわかりませんが,昔からある技術ですね。効率が悪いということもなさそうで,以下を見る限り,変換効率も70-80%ぐらいです。もちろん,廃棄の種類や前処理の方法にも依るみたいですが。
食糧廃棄再利用の課題は?(事業が成立しない理由)
再利用の技術は確立しているけど,食糧廃棄の再利用は,インパクトのある規模ほど普及していないのが実情だと思います。その課題は,食糧廃棄物を集める過程と輸送の過程にあると思います。以下によると,15万tonの食糧廃棄利用で,約2億台の卓上扇風機を1時間動かせます。
https://www.saveonenergy.com/food-power-per-hour/
例えが分かりづらいのと数が多すぎてよくわからないですが,卓上扇風機1台当たりの消費電力を5Wとすると,10億W=1000MWですね。それが1時間動かせるとのことなので,大規模な石炭火力発電を1時間運転した電力ぐらいは生み出せる計算になりますね。多いように感じますが,15万tonというのは,年間での廃棄量です。。全国各地に散らばっているホテルで年間に生まれる廃棄量を全て集めたとしても,発電所を1時間動かした分ぐらいの電力にしかならない訳です。。
厳密に計算しないですが,どう考えても,食糧廃棄を集めて輸送する方がエネルギー消費してしまいそうですよね。。よっぽど,特殊な条件(食糧廃棄が同じ場所で大量に集まるところかつ処理プラントが近い)でないと事業として成立しなさそうです。
結論
すごく雑な結論になります。。食糧廃棄を再利用することに興味がありましたが,,再利用するぐらいなら食糧廃棄を減らした方がよっぽど効果的だと考えます。。皆さん,注文のし過ぎや作りすぎには注意しましょう!ただ,こういう食糧廃棄問題に限らずですが,大人数の個人行動を変容することって最も難しいことだと感じています。たとえば,それこそ感染症対策もそうですし,渋滞やエネルギー問題も個人行動の変容ができれば,ある程度解決に向かうと思います。ですが,こればかりは中々難しくて,今後も永遠の課題だろうと思います。今度,どうすればそんなことができるだろうか考えてみたいです。。
参考にしたその他URL
How Anaerobic Digestion Turns Food Waste Into Energy - Willshee's